なぜ熱が出るのでしょう。
特に小児は、いろんな原因でよく熱を出します。しかし、そのほとんどは『風邪』によるものです。『風邪』をひいた時に出る熱は、体の中に入り込んだウイルスや細菌をやっつけるために、体が自分でだしたものです。『風邪』の主な原因であるウイルスは、熱に弱く、熱が続くと、体に侵入したウイルスは死んでしまいます。
つまり、熱は体を守る大切な武器のひとつなのです。熱そのものが病気なのではなく、病気になったから熱が出たわけです。『熱は悪者ではありません。体を守ってくれる正義の味方なのです。』
ちなみに『風邪』の主な原因であるウイルスそのものには抗生剤は効果がありません。風邪に細菌感染を合併したときなどは重要ですし、その状態により投与が必要の場合がありますが、不適当な抗生剤の内服は逆に耐性菌(薬の利きにくい菌)の出現を招いたり、本当に抗生剤の必要な細菌感染症の時に原因菌を見つけるのが難しくなってしまいます。
基本的に『病気を治すのに必要最小限の薬で治療をしたい』というのが私の考え方です。人間の自然治癒力を最大限に生かしながら少しのお手伝いで病気が治っていくならばそれが最善と考えます。しかし5日以上続く発熱や繰り返す発熱は風邪以外の原因が隠れていることがあり注意が必要です。
咳の原因として最も多いのは上気道のウイルス感染によるかぜ症候群です。これはかぜが治ったあともしばらく続くことがあり風邪薬で様子をみていると自然によくなっていきます。しかし3週間以上続く咳は遷延性咳嗽(せんえんせいがいそう)といい、原因としては咳の症状しかない喘息やタバコ病ともいわれるCOPD、鼻症状を伴う副鼻腔気管支症候群や、胸やけや咽頭不快をともなう逆流性食道炎などの頻度が多いといわれています。感染性疾患は、百日咳や肺結核など、中には肺癌が原因のこともあり、一度呼吸器科で胸部レントゲンや血液検査、喀痰検査、肺機能検査など含めて調べることが大切です。
タバコを吸われますか?主に喫煙が原因と言われている肺気腫と言う疾患があります。世間で話題になっているCOPD『慢性閉塞性肺疾患』の代表的な疾患で空気を吐き出す力が弱くなります。肺機能検査・レントゲンでその程度がわかります。気管支拡張剤の吸入や内服が有効ですが、原因となっているタバコを止めることがなにより大切です。(簡単なことではありませんが…)タバコをなかなか止められない方も含めお気軽にご相談ください。
タバコを吸われない方でも肺が硬くなる肺線維症という疾患があります。他にも息切れの原因になる疾患は呼吸器疾患だけでなくいろいろありますので一度ご相談ください。
胸痛の原因としては肺・呼吸器の疾患や心臓・血管系の疾患、筋肉や骨、神経、皮膚の疾患など様々です。筋肉痛や神経痛など大きな心配がないことも多いですが、中には気胸(肺に穴があき縮む病気)や肺炎、胸膜炎などの呼吸器疾患や狭心症、心筋梗塞、大動脈瘤などの心臓・血管系の疾患など早い処置が必要なものもあります。胸痛が繰り返す場合や、冷汗が出るような痛みがあれば早期に医療機関に受診することが必要と思われます。