医療法人 はなさきクリニック

愛知県清須市の呼吸器内科、内科、アレルギー科、小児科
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気管支喘息について

気管支喘息とは

気管支喘息は、空気の通り道である気道(気管支など)に炎症が起き、空気の流れ(気流)が制限される病気です。気道は炎症により過敏になると、いろいろな吸入刺激に反応して、発作的に咳、ぜーぜーと気管支が鳴る喘鳴、呼吸困難が起きます。気流制限は軽いものから死に至るほどの高度のものまであり、治療により、また時には自然に回復し元に戻ります。

しかし、長く罹っている成人喘息の方の気道では、炎症とその修復が繰り返される過程で気道の壁が厚くなって、なかなか喘鳴が消えず気流制限が完全に元に戻らなくなることもあります。
また中にはぜーぜーとした喘鳴がなく、咳の症状しかない喘息(咳喘息)もあり注意が必要です。

診断は
1、聴診の所見
2、肺機能検査・気道抵抗検査
3、呼気NO測定
4、血液検査
5、気道過敏性試験
6、喀痰検査などを組み合わせて総合的に行います。

気管支喘息の種類

気管支喘息の種類としては大きく分けると1.アトピー型喘息、2.非アトピー型喘息の2型があります。
1.アトピー型気管支喘息は、家族に多発することから遺伝的素因に基づいて発症する生まれつきの過敏症(アレルギー)であると考え、この素因をアトピーと呼びます。簡単にいえば、アトピーはアレルギーを起こし易い体質のことで、アトピー性皮膚炎の病名の由来もここにあります。

アトピー素因があるかどうかは、(1)家族歴と既往歴に気管支喘息、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、アトピー性皮膚炎のいずれかがあるか、または(2)IgE抗体を産生しやすい素因があるかで判定されます。IgE抗体は、皮膚テストや、採血検査による特異的IgE抗体の測定(ダニ、ハウスダストなど)の陽性、総IgE抗体が高いことなどによりわかります。1.アトピー型喘息は、吸入された家塵ダニ、カビ、花粉などにIgE抗体が反応して30分ぐらいの短時間で起きる即時型アレルギー反応によって発症する喘息で小児喘息の大半がこれに当たります。

これに対して、アレルギーの原因物質に対するIgE抗体がなく即時型アレルギーではないメカニズムの炎症によって発症すると考えられる喘息を2.非アトピー型喘息といい成人喘息の中にはこのタイプもよく認められます。

なかにはRSウイルスや風邪ウイルスとして代表的なライノウイルス、細菌のなかではマイコプラズマや百日咳の感染後などに咳や喘鳴が続く場合があり、喘息と紛らわしい症状になることもあります。

中にはぜーぜーと典型的な喘鳴がなく、咳が症状の中心である咳喘息や、風邪薬やアスピリンなの解熱鎮痛薬を使用したことが誘引で喘息発作が出現するアスピリン喘息というものもありますので、注意が必要です。

気管支喘息の治療

気管支喘息治療薬は定期的に内服、または吸入する薬(長期管理薬)と発作の時に使用する薬(発作治療薬)に分けられ、これらの組み合わせで治療していきます。発作が起きないように予防的に長期管理薬を使用し、急性発作が起きた時に発作治療薬で発作を止めます。

発作治療薬を使う頻度が多いほど喘息の状態は悪いと考えられ、長期管理薬をいかに用いて発作治療薬を使う量をなくす(抑える)かということが治療の一つの目標です。

長期管理薬では0~5歳までの小児の患者様には抗アレルギー薬の内服もしくは吸入で治療を開始しますが、基本的には吸入ステロイド薬が最も重要な薬剤であり、これらにより気管支喘息の本体である気道の炎症を抑えることが気管支喘息治療の根幹といえます。

ステロイドと聞くと怖い薬だというイメージをお持ちの患者様もみえると思いますが、吸入ステロイド薬は適切な量を使用していれば長期間にわたり使用しても全身的な副作用はほとんどないことがわかっています。重症度に応じて吸入ステロイド薬の増量、吸入ステロイドと長時間作動型β2刺激薬の配合剤や抗アレルギー薬(おもにロイコトリエン受容体拮抗薬)、長時間作動型β2刺激薬(吸入薬・貼り薬)、長期間作動型抗コリン薬(吸入)、抗IgE抗体(注射薬)、経口ステロイドなどを併用します。

長期管理薬を使用しても発作が起こった場合は、発作治療薬を使用します。発作治療薬には短時間作動型β2刺激薬の吸入、ステロイド剤の点滴などが使われます。中には長期管理薬に発作治療薬と同様の効果を持ったものも出てきており、今後の治療における位置づけが議論されています。

薬剤以外では、特に小児に多いアトピー型の気管支喘息の治療においてはアレルギーの原因となるハウスダストやダニの除去、禁煙(小児の場合は家族みなさんの禁煙)、ペット(ネコ、イヌ、ハムスター、ウサギなど)の飼育の中止、カビや花粉などへの暴露を避けるなど生活環境の整備が大変重要となります。
また喘息患者様ではアレルギー性鼻炎の合併が60-70%程度あり、合わせて治療することが必要です。

当院での治療の特色

当院での治療の特色
 

喘息は、治療しなくても症状がない状態(寛解と言います)になることがあります。しかし(特に成人の患者様は)高血圧や高コレステロール血症、糖尿病のような慢性疾患と同様、もしくはそれ以上に喘息も定期的に医師の指導を受けて自己管理することが大変重要です。軽症の患者様も定期的に、適切に自己管理、治療を行うことが突然の喘息増悪や肺機能を低下させないために重要であることがわかってきました。

通常、喘息は外来診療が中心ですので、診察日以外は、日頃自分で喘息の状態を管理し発作の予防と速やかで適切な対処を心掛けねばなりません。それには患者様が自分自身の喘息の重症度と増悪因子を判断することが必要です。そのため当院では病状に応じて喘息日記を記入して喘息発作の強さと回数を知り、さらに喘息の重症度に応じて肺の機能を客観的に評価するため自分で携帯用ピークフローメーターを使って、いきをどれだけ勢いよく吐けるかの値(ピークフロー値)を測定し記録していくことを積極的にお勧めしています。これらの記録を見させていただくことで、その後の治療の方法や指導の計画が作成でき、患者様は自分自身の症状と薬剤の効果を実感できます。ピークフローの値は、喘息の発作症状が出るより2~3日前に下がることもまれではありません。その場合にはたとえ発作を感じなくても治療薬を増量したり、日常生活で無理をしない(激しい運動を控えるなど)といった対応をします。

また、喘息の治療歴の長い患者様は、良い状態と見えてもピークフローは予測値の半分ということがあります。これは、長年にわたり気管支に炎症が続いた結果、狭くなった気管支が元に戻りにくい状態になっており、この状態に体が慣れてしまっているのです。重症化しやすいので適切かつ充分な治療を必要とする状態と思われます。

自己管理の目安としてピークフローの測定値が予測値あるいは自分の過去の最良値の80%以上かつ1日の変動率が20%以下であればコントロール良好で安心できます。60~80%は要注意で治療の追加が必要ですし、60%未満は危険な状態である可能性があるので直ちに受診いただくことが望ましいと考えます。

よくなったと自己判断し、治療を中断することは大変危険とおもわれます。